新海誠さん 『すずめの戸締まり』
11月11日がボクの誕生日で、新海誠さんの新作『すずめの戸締まり』の公開日であったので、夕方の上映時間を調べて観に行った。
ボクにとって、新海誠さんは、この日本で、いやこの世界で最も注目しているアーティストのひとりであって、彼の新作を観ないという選択肢はない。
そして観て良かった。
夕方のシアターには、地元の高校生が大勢詰めかけていた。男子高校生がとても多く、もちろん女子高校生も、デートらしいカップルも見受けられた。シアター内の彼らの雑談のウェーブが映画がはじまると静まり、映画の終わりには凝集した沈黙と集中で静謐なものにかわっていた。
映画をこれから観る人々にネタバレをしたくないので、内容にはふれない。
あえてアドヴァイスしてもいいこととしては、一種のロードムービーとして観ると作品世界の構造性がつかみやすいと思われることだ。
新海誠さんは、おそらくこの作品で作家としてのピークを迎えていると思われる。
その難しいテーマをこのような形で作品にまとめ上げるには、知力 体力 気力の充実が必要だろう。
大人の若さがなくては創れない力作である。
ボクは何度か涙を拭った。
それは感動の涙というよりも、この涙はどこから来るのだろう?という不思議な涙だった。
声なき死者の声を、作者たちがスクリーンに出現させたからだろうか。
美しい日本の風景と災異の風景と。
一回観て理解し消費する映画ではないので、また観に行くことだろう。
そしていつか今の高校生が社会に出て大人になった頃、この映画について語れればいいなと思う。
ー『そうやって君は生きてきたんだね』
ボクはその時、まだ会っていない映画を観た相手に語るのだろうか。
| 固定リンク
コメント