素晴らしかった。お店は日本で一番古いジャズ・クラブ、「BIRDLAND」(“瀬里奈”前、スクエアビルB2)。百席の店内は飾らない雰囲気でくつろげた。7時の開演前に、近所のアメリカン・ダイナーで腹ごしらえ。
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ステージで女性のアルト・サックスを聴くのは初めてだった。
カッコいい。目をつぶってサックスを掴む感じが、まるで音楽を抱きしめているようだった。そういう女性の表情は官能的だ。
若い高橋里美(アルトサックス)、鈴木ひさつぐ(テナーサックス)を囲んで、ピアノ、ベース、ドラムはベテラン・ジャズプレイヤーが固めた。
やっぱり、ライブは違う。サックスから官能的な旋律が、ドラムからは鼓動が聴こえてくる。
「September in the rain」「take five」「left alone」「Star dust」・・・、ビートルズの「and I love her」等、いい雰囲気の演奏が続いた。奏者が余裕があって楽しめる。勧められて、リクエスト・カードを店の人に渡した。後でジャズに詳しくない僕が出すぎた真似をしたようで少し後悔した。
1ステージが終わる頃女性の司会者がそっと傍に来て「次のステージでやるそうですから・・・」と耳元でささやいた。ドキドキしてくる。
鈴木さんのテナーサックスから、その旋律が流れ始めた時には、ゾクゾクした。そして惹きこまれた。
Someone to Watch Over Me・・・
リドリー・スコット監督の「誰かに見られてる」(1987)ではこの名バラードをスティングが歌った。ロマンティック・スリラーの“黙殺された傑作”。いい映画でも不幸な運命を辿ることがある。
トム・べレンジャーとミミ・ロジャーズの大人の恋と別れがNYのロケで描かれる。夜景が美しい。そしてこの「Someone・・・」は夜景にかぶって流れる失恋の感傷を歌った曲である。
別れた恋人に訴えかけるように、サックスは歌い上げてくれた。僕は一生の思い出をプレゼントされた気分になった。
若い頃の夜遊びとは違う。僕はもう一度、大人の夜遊びをしよう、と思った。
土曜の朝、いまだにジャスの興奮は体に残っている。心と体に溜まった日常がジャズのサウンド・シャワーできれいに流れた気がする。
「花金」には、Liveに行こう。
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